グンマの口碑(太田市)
○「千早振る卯月八日は吉日よ、神さげ虫の成敗をする」と云ふ歌を書て流しにはると虫が出ない
○おさきなる動物は人の家に禍福を与ふ
○お月様が笠をかぶると近きに雨ふる
○からたちの木に生じたる菌は煎じてれうまちによし
○しびれのきれたる時塵を額に貼ればなほる
○烏鳴が悪いと人が死ぬ
○卯の日に田植をすると其米が不幸の役に立つ
○燕に糞をかけらると運がよい
○燕を捕れば目がつぶれる
○下雷は牡丹餅をして招んでも釆ない
○家によりて作物に作ることの出来きぬ作物あり
○柿の種を囲炉裡へ入れゝば火傷をする
○寒中霧がまくと水が出る
○寒中霧がまくと八十八夜頃霜ふる
○寒中油をこぼすと火に崇る
○眼にごみの入りたるとき唾をつけると出る
○顔に瘡を生すれば草にてこすり馬に食わせて直る
○旧六月十五日に不幸ありたるものが祇園に行くと怪我をする
○魚の眼を食すれば魚の目出来る
○金と虱はたまる程きたない
○桑の当り年には繭相場が高い
○鶏が宵鳴をすると不思議あり
○鶏の初卵を飲めば子供が出釆る
○犬が遠吠すると不思議あり
○御荷鉾の三束雨
○御神木に釘を打ちて祈ると祈られた人病気になる
○口笛を吹くと盗人が来る
○甲子に雨が降ると六十日の霖雨
○香の物二切とるべし、三切とると身を切られ、四切とると世乱る
○蛇の脱けがらを産婦に飲ますれば産が軽い
○蛇を指させば其指が腐る
○手拭をあぶると恥をかく
○十六の時に六寸ある糸瓜を一人にて食すると運よし
○出針を使ふと其日恥をかく
○初午に針を使ふと火にたたる
○初物を食へば七十五日生き延びる
○新らしき履物を下し直ぐに便所へ行くと其履物よはし
○神棚の下にうどんげが出来ると運がよい
○人が気絶した時井戸の上へ行き其名を呼べば蘇生す
○人に六算なるものあり
○人の帰宅を希望するときには篇に手拭をかぶせる、又下駄に灸をすへる
○雀がさわぐと雪が降る
○正月十五日に粥を吹て食べると其年田植に風が吹く
○正月十四日に針を使ふと蚕に虫が入る
○精霊様の牡丹餅を食ふと病気に罷らぬ
○青野の西風ほ三日ともたぬ
○赤城山に三角窓が出来ると近き中に雨が降る、風吹く
○節分の豆を雷鳴のとき喰べると怪我をしない
○節分の豆を炒るとき、豆がらに鰯の頭をさして火にあぶると物作物に虫がつかぬ
○雪は豊年の兆
○葬式の枕団子を食ふと百日咳に効あり
○霜の降ふ年に桑の価の高い事なし
○足袋をはきて寝ると親の死目に会はれぬ
○帯を枕にすれば長き病にかゝる
○地震、五七が雨に四つ旱、六ツ八ツ風に九が病
○朝蜘妹が下ると其日は縁義がよい
○朝茶を飲めば其日の難をのがる
○鎮西八郎為朝と書て入口にはれば疱瘡にかかぬ
○爪を燃やすと気狂になる
○亭主の褌をしめて産が軽い
○土用三日目に河原の石をとり置けば霜やけに功あり
○土用三日目に四つ前木桂の花をとり置けば下痢に効あり
○土用三日目の四ツ前にとりたるものを食すれば病気にかからぬ
○冬至に味噌漬にしたる柚子を年取に食へば病気にかからぬ
○冬至の朝水を汲みて家にかけると火災なし
○棟去りのふらし銭をかぎつるしに下ぜ置けば火災なし
○鍋のつるを越して汁をもるな
○縄を焼けば家の棟が下る
○入浴中に水をのめば風邪を引かぬ
○猫を殺すと七代祟る
○年の差が四つと十のものと結婚するものでない
○蚤を焼きて音を発してほねると天気である
○馬と云ふ字を三つ赤い紙に書いて家の入口に逆さに貼り置けば馬脾風が入らない
○鳩が鳴けば天気になる
○風邪のときに豆と銭を紙につつみさん俵にのせ三方辻に送り出せば風邪直る
○方角の悪い方へ家を立てると病者出来る
○毛を飲めばのどけになる
○夜酸漿を鳴らすと蛇が来る
○友引の日に葬式をすると引続き葬式ができる
○来年の事を云へば鬼が笑ふ
○流し尻へ魚を入れると病人が出来る
○流星が己の方に向って飛と運よくなる
○彗星が出ると世が乱る
○欅が木の葉がむらに出ると遅れ霜がふる
○鞋は一足を二人してたてるもので無い
○三月の節句に豆腐の四角を切り紅をつけて神に上げると空頭蚕ができぬ
○三夫婦揃し家の飯初を腋の下へはさむと腋臭直る
○二月八日、十二月八日に籠に柊を入れて軒場に立てると金が入る
☆口笛
田舎の夜、街灯も無く・暗い村中に響きわたる口笛を嫌がり、魔物や蛇が来ると戒めた。
☆蛇を指指すと指が腐る
蛇は神の使いとされた。 もし指指してしまったら、唾をつける・指を噛む・指切りする(真似)、などすること。
※蛇は、水の神・山の神・家の守神・お金の神でもあった。
☆眉唾
古くは狐、人の眉毛の数を読んで・人を騙した。 そこで、眉毛に唾をつけて濡らし・眉毛の数を読めなくする、のがねらい。
☆へちま
古くは「絲瓜」、訛って「とうり」。 「と」はイロハニホヘトチリ…なので「へちま」。
※「へ」と「チ」の間
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