中の山古墳
☆中の山古墳は、奥の山古墳と並んで埼玉古墳群の南端に位置しています。東側には、壊されてしまいましたが方墳の戸場口山古墳が隣接しており、三つの古墳の真ん中にあたることからその名がつきました。全長は79mです。 墳丘は、前方部の保存状態が良い一方、後円部はかつて畑となっていたため、細長く変形しています。今は完全に埋まっていますが、発掘調査により、周囲は二重の堀で囲まれていることが確認されています。 後円部の頂上には掘り返されたとみられるくぼみがあり、かつて石棺が出土したという言い伝えがあることから、埋葬施設は盗掘された可能性が高いようです。またこのことから、中の山古墳は「唐櫃山」という別名を持っています。 駐車場からも博物館からも離れているため訪れる人は多くないようで、古墳西側の芝生は、日中でも静かな空間になっています。静かな散策を楽しむには絶好と言えるでしょう。
発掘調査では、他の古墳のような埴輪ではなく、変わった土器が出土しました。須恵器と同じく灰色に焼きしまり、形は、口がラッパのように広がり、胴体はやや細長く、底は穴があいています。 頭の大きな「銚子」のようですが、これを「須恵質埴輪壺」と呼んでいます。九州北部のいくつかの古墳で似たものが出土していますが、関東の古墳では他に例がありません。
近年、西に約30km離れた寄居町末野遺跡で、中の山古墳と同じ須恵質埴輪壺を焼いたとみられる須恵器の窯跡が発見されました。その年代は、須恵器の特徴から、六世紀末から七世紀初めと考えられます。 この頃は前方後円墳が造られなくなる時期にあたり、中の山古墳は埼玉古墳群最後の前方後円墳です。
○戸場口山古墳跡
大型方墳
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