群馬での暮らし:長年寺・木部姫の井戸
《グンマを話そう》
○長年寺・木部姫の井戸
榛名町・下室田に長歳寺があり、そこには榛名湖に通じていると言われる古井戸があります。 ある昔、この寺に大勢の人々を集めて寺ぶるまいをしてご馳走することになりました。 しかし、お膳やお椀が足りなくて困っていました。
この長年寺には、ある寂しい雨の夜一人の女がやってきたことがありました。 それは榛名湖に身を沈めた木部姫が長い苦しみ・悲しみから助けを求めて来たのでした。 住職は木部姫の願いをかなえてやり、木部姫は「お礼に、この寺を守りましょう」と言い榛名湖へと帰っていきました。
この話を思い出した坊さんがお願いすると、井戸の中からたくさんのお膳とお椀が浮かんできました。 寺ぶるまいが終わり、綺麗に洗ったお膳とお椀を井戸へ戻すと、奥深く吸い込まれていきました。 それからも、お 膳やお椀が足りなくなると、紙に書いてお願いすると浮いてきました。 しかしあるとき、蓋をひとつ返し忘れたとき以来、願いはかなえられなくなりました。
○木部姫と長年寺(下村田)
ある夜、美女が血脈譜を授かりたいとやってきた。 蝋燭で襖に照らし出された影はまさに蛇姿であった。 そして、身の上を語り始めた 「緑野群八幡村木部城主の妻・木部姫と申し、落城とともに榛名湖に入水し大蛇となった。血脈譜を授かることができるなら、永遠に寺に水を捧げる」
はたして、長年寺境内に清水が湧き出て絶えることがなかった。 人々は「木部の井戸」とよぶようになった。 この井戸は底なしで・榛名湖に続いているといわれている。
※木部姫に関する逸話は多数ある。
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