群馬での暮らし:竜宮の椀
《グンマを話そう》
○利根村:竜宮の椀
吹割の滝の底は竜宮に続いていると言われていました。 ある昔、利根村追貝の若者が嫁をもらうことになりましたが、貧しくて客用の膳と椀がありません。 そこで竜宮にお願いしようと、滝の上手から手紙を流しました。 翌日滝へ行くと、お願いした膳と椀が岩の上に置いてありました。 嫁迎えを無事すませた若者は、膳と椀をきれいに洗って返しました。 やがてこの話が広がり、多くの村人が膳や椀を借りることが出来ました。
ただ、ある村人が返し忘れたことがありました、そのとき以来滝から何も出てこなくなりました。(群馬には、「お願いすると椀が沼などから出てくる」という伝説が数多くあります)
○新田郡尾島町・長楽寺
ここには、「千じょうばりの蚊帳」をハス池から借りた話がある。
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○竜宮の椀
実は、竜宮はグンマの下に存在する。 なによりの証に、現在「竜宮椀伝説」は下記地区で確認されている。
☆榛名町室田長年寺井戸・桐生市梅田町鴨の鴨淵・板倉町峰の膳棚の沼権現沼(亀が配達)・館林市当郷の城沼(善長寺依頼分)・前橋市増田の広瀬川と荒砥川の合流地点・松井田町小柏ヒダリ淵・上野村楢原ハネコ淵・多野村塩ノ沢ノミゼー淵(沼姫)・勢多郡東村マス淵・勢多郡東村オダマ淵・高山村尻高鏜々が淵・藤岡市日野芝平茶碗沢のほら穴・藤岡市高山市衛門のほら穴(貸主は狐)。
※いずれの地区も、ちゃんと返さなかったので、モウダメ…
○竜宮の椀・特別編
ある昔、地主重兵衛が前から欲しかった膳と椀を十客買ったが、小作人らに気兼ねして使うことができなかった。 そこで考えた。「竜宮の姫が貸したことにすれば、みんなが気軽に使える!」 こうして、膳と椀を観音道に隠し、重兵衛が手紙を代筆した。 やがて重兵衛も歳をとり、バレそうになったので思った。「これまでダ、もう止めよう」
○竜宮の渕・足利編
足利八幡神社近く「竜宮の渕」は底深く・竜宮へ続くといわれた。 ある年、洪水ですべて流されてしまい、鎮守祭りのお供物用の膳・椀にも困ったので、「竜神様」にお願いすることにした。 翌朝、「竜宮の渕」を畔には供物用膳椀が並べられていた。 こうして、村祭りの際には膳や椀を借りるようになった。 ある年、祭り当番が膳椀を一客返さずにくすねると、大洪水となりそれからは借りることができなくなった。
※「竜宮椀貸し伝説」は、グンマ各地にあり、特に利根川・渡良瀬地方に多い。
※昔の祝儀・不祝儀では箱膳が使われた。 そのため人数が多い時は足りなくなるので、椀借用伝説が各地で生まれたと考えられる。
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