群馬での暮らし:オチャスケベ
○オチャスケベ(茶好部)
[お茶大好き人間]のこと。 地域によっては、チャフクベ・オチュッパカリ・チャドウラク・オチャクレ・チャブクレ・オチャッピキ・オチャクライなどというが、いずれもあまりいい意味ではない。
※お風呂好きはユスケベ、出歩くのが好きな人はデスケベ、酒好きはサケックライという。
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○近所でお茶を飲みまくることを「ヒラキマワル・ヒラキアルク」という。
※ヒラキは物貰いの意。
○茶渋
茶碗の茶渋でお茶がより美味しくなるともいわれ、茶碗についた茶渋を落とすのを嫌がった。
《グンマを話そう》
☆殿様と鉄瓶
ある昔、殿様がある家に立ち寄りお茶を飲んだ際、古い鉄瓶を気に入り「帰りに買っていく」と告げた。 喜んだおばあさんは、きれいにすればもっと高く売れるとせっせと磨いた。 戻ってきた殿様は鉄瓶を見て言った「きれいな鉄瓶はイラナイ」。
※鉄瓶は、茶碗・急須・煙管などに変わることもある。
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○カラッチャ
☆空茶飲むのはバラしょって木登りするよりこわい
☆からっちゃは麦つきよりおおごと
※いずれも、「その地域の一番の重労働よりおおごとだ」の意。
茶菓子なしでお茶だけを出すことをいい、お茶うけが無いことを嫌った。 今でも、フツーに「カラッ茶飲もう」と言う。(今はこの場合でも、ちょっとしたお菓子などが出る)
※葬儀ではカラッチャは認められる。
※無縁仏(宿が無いので軒下にいる)にはお茶を供える・残ったお茶は軒下にまけてやると無縁仏に供えたことになる・お茶の中に入ったハエは「ショウジョウ」といい無縁仏がお茶を欲しがっている証。
※罪人の首切りのときは一杯茶を出したので「首切り茶」とも言った。
※一杯茶を嫌った・一杯飯も嫌った。どうしてものときは、二杯目をつぐマネをして飲んだ(食べた)ことにした。
※お茶を入れるときは、きびしょ(急須)の口を外に向けてはいけない。
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○なっぱにこうこう(菜っ葉・香々)
お茶うけとして、漬物や沢庵や梅干し(地方によっては、梅干し+砂糖・玉砂糖のみ・黒砂糖のみ)を出した。 これは、「おちゃぞっぺ(チャゾッペ・チャジョッペ)」といわれ、やがてはお茶菓子へと代わった。
※「梅干しはその日の難のがれ」の意がある。
※チャゾッペには「ショッパイ」との感覚もある。
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○チャガシ・チャノコ
朝飯前仕事に出かける前にちょっとしたものを食べるのを「チャノコ」、朝飯を「チャヅケ」、お菓子(香煎など)を「チャノコ」ともいった。 この場合の「チャ」は、「ちょっとした(簡単な)」の意となる。
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○イゲチャ
☆「お茶を入れかえましょう」と言って出す
☆お茶をなみなみとついで出す
☆いく度もお茶をついでだす
☆炒り豆をだす
これをイゲチャといい(「行け茶」の意)、もう帰って欲しい客に出した。
※旅の道中の無事を祈って出すお茶も「イゲ茶」といい、ご馳走の最後に出す茶・客が帰る前に出す茶は「タチ茶」といった。 ただし、地方によってはこの区別はない。
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○お茶の消費量は多い。 これは、空気が乾いているから飲む回数が多く、外出から帰るとまず喉を潤すこととなる。 そのためにはガブ飲みとなり、お茶受けとしては漬物となる。
※前橋では、面倒くさい・格式ばっているとの理由で、抹茶が売れなかった。
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