食わず女房
《グンマを話そう》
○食わず女房(頭から飯を食う鬼女)
ある昔ドケチな男が「美しくて飯を食わない女」を女房にした。 確かに飯を食わないのだが、米櫃の米はすぐに空になる。 不思議に思い出かける振りしてコソッと覗き見すると、大きな釜で飯を炊き・頭のてっぺんに隠れていた大口を開き、どんどん飲み込んでしまった。 その正体は山姥であった。 そこで男は離縁を申し渡したが、逆に桶に閉じこめられ、山奥へと運ばれていった。
恐怖のあまり動けなかった男は、偶然垂れ下がっていた藤のツルにつかまり・桶から飛び降りて・一目散に逃げ出した。 山姥に追いかけられた男は、ショウブとヨモギの茂みに身を隠した。 山姥はヨモギのにおいが嫌いで・ショウブは刃のように刺さり、男を見つけることができなかった。 こうして、五月の節句には匂いのあるヨモギとショウブを飾るようになった。
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