グンマを話そう:物語山
甘楽ノ牧・西野牧・南野牧を支配する大夫様が、牧で働く一人の娘「於辰」を見初め館に上げ侍女とし、やがて大夫の子を身ごもった。 於辰は兄のもとで男子を生んだが、大夫様には女子と告げ、万呂と名付け兄夫婦のもとで育てた。
一方、南野牧の分家では女子「キキョウ」が生まれ、於辰が乳母として館に入った。 万呂も十三歳となり牧場で働くようになり、キキョウ姫に認められ馬丁となった。
キキョウ姫が十八歳になると縁談の話があったが断り、於辰と万呂に連れられて館を抜けだし内山峠を越え、望月の里で仏門に入り於辰尼とキキョウ尼となり、万呂は佐久の千曲寺で寺尾となった。
十年の月日が過ぎ、姫の消息を知った大夫様が甘楽寺を建立し、キキョウ尼と於辰尼と万呂を迎えた。
於辰尼は五十六歳になると、万呂の生い立ちをあかし、兄の元へと甘楽寺を離れた。 甘楽寺に残ったキキョウ尼と万呂も、やがて亡くなり、甘楽寺は一代限りの寺として終えた。
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