工芸館
工芸館の建物は、旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したものです。 この建物は、明治43(1910)年3月、陸軍技師田村鎮(やすし)の設計により、近衛師団司令部庁舎として建築されました。 2階建煉瓦造で、正面中央の玄関部に小さな八角形の塔屋をのせ、両翼部に張り出しがある簡素なゴシック様式の建物です。 丸の内や霞ヶ関の明治洋風煉瓦造の建物が急速に消滅していくなかで、官庁建築の旧規をよく残しており、日本人技術者が設計した現存する数少ない遺構として重要な文化財です。
昭和47(1972)年10月に外壁、玄関および階段ホールが重要文化財に指定されました。 翌年から保存活用工事が行われ、内側に新たに鉄筋コンクリートの構造体を設け、煉瓦壁体はあたかも外装タイルのように扱っています。 屋根は震災後の桟瓦葺から建設当初のスレート葺きに復元されました。 中央の階段回りとホールの部分は、当時の姿を残しているといわれています。 東側に設置された和室も含め展示室は、東京国立近代美術館本館の設計者である谷口吉郎によって設計されました。
☆東京国立近代美術館工芸館
明治四十三年坂下門内にあった近衛師団司令部が移転、昭和四十七年外壁・玄関・階段ホールが重要文化財となり改修。 西側土手に残るは高射機関砲台座。
☆三年町御料地・大正十五年(現東京都千代田区霞が関3)
明治十九年文部省所管工科大学敷地が宮内省へ移管、明治二十年六月に宮内省御料局の管轄となり、三年町御料地設定。 当初は、学習院の移設を想定していた。
明治二十一年宮内省庁舎が紅葉山下(現在の宮内庁庁舎の場所)に竣工し、宮内省移転。 その後、御料地は関東大震災後における復興事業の中で払下げを求められ、昭和四年に大蔵省営繕管財局へ無償で引き渡された。
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