群馬での暮らし:大歳の火
《グンマを話そう》
○大歳の火
ある大晦日の夜、奉公娘は庄屋の厳しいおかみさんから「囲炉裏の火を絶やさないように」と言われました。 娘は気になり夜中に起きて見ると、火が消えていました。 寒い冬の夜更け、困った娘が外に出ると向山の麓に小さな明かりが見えたので、娘は火をもらおうと一生懸命走りました。
その小屋には白髪を振り乱して出刃包丁を研いでいるばあさんがいました。 娘は怖くてたまらなかったのですが、「火種を下さいと」を頼みました。 ばあさんは、「わしの頼みもきいてくれ。友が亡くなったのでこの棺桶を頼む。」 娘は火種をもらい・棺桶を担いで庄屋へ戻り、囲炉裏に火をおこし、棺桶を台所隅の藁に隠しました。
翌正月、庄屋様が台所の隅に光る物を見つけました。 観念した娘はすべてを話しました。 棺桶の中は小判でいっぱいでした。 庄屋様は言いました。「それは福の神だ。 今まで一生懸命働いてきたおまえがもらったのだから、小判はおまえのものだ。」
やがて、娘は小判を持って里へ帰りました。
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