群馬での暮らし:竜宮城
《グンマを話そう》
○竜宮と人魚
ある昔、桃野村小川に清冶という男がいました。 五人の仲間が集まって「庚申待」をすることになり、さらに仲間を探していたところ、見知らぬ若者が加わりました。 やがてその若者が世話役になり、その若者の家に招かれました。
みんなが利根川の深い淵に着くと、若者が言いました。「これから竜宮城へ招待します」 そして、まばゆい竜宮城でご馳走をいっぱい食べましたが、一皿だけ見たことが無い肉塊があり誰も箸をつけませんでした。 清冶はそっとたもとにしまいました。
ある時、三つになる女の子が持ち帰った肉を食べてしまいました。 それは「食べると歳をとらない」と言われる人魚の肉だったのです。 こうして、竜宮城への入り口 「清冶が淵」と呼ばれるようになり、清冶家では毎晦日になると鏡餅を淵の中へと納めていました。
この女の子はとても長生きをしたので、親兄弟姉妹親戚みな亡くなり寂しい日が続くようになりました。 そこで、亡くなった人の冥福を祈り、仏に使えて尼さんになろうと諸国を巡り歩きました。 ついには、若狭国小浜の空印寺で八百歳の寿命をまっとうしたそうです。 (小川の里には八百比丘尼の屋敷跡があるそうです)
○八百比丘尼(八百姫)
千年の寿命を与えられたが、八百歳のとき領主に二百歳をゆずり、若くして命を終えたともいわれる。
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