グンマの昔:大光院
《グンマを話そう》
○呑竜上人となかずの池
ある昔、太田金山に与一という猟師がおっかさんと女房の三人で暮らしていた。 ある年、日照りで作物が枯れてしまい鳥も獣も山から姿を消し、食べる物が無くなった。 与一は遠くへ猟に行き帰らない日が続いた。
やがて食べ物がなくなり病に倒れたおっかさんのために、女房が弓矢を持ち山へ出かけた。 獲物が無く暮れかけた山道をおりてくると、木々の間に羽ばたくものを見つけ夢中で弓を引いた。 射止めたのは禁制の鶴であった。 女房は大光院に助けを求め、寺の使いがおっかさんに薬と食べ物を届けたが手遅れであった。 女房は泣き嘆き、大光院の池に「与一…」と一言残して身を投げた。
翌春、池のカエルが「ヨイチ…ヨイチ…」と鳴くのを聞いた呑竜上人は、女房の心をうち思い改めて弔った。 それからは、大光院の池は「なかずの池」といわれている。
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