グンマの昔:片品そして尾瀬
《グンマを話そう》
○尾瀬の丹花石明神
ある昔、大納言頼国は京の都を逃れ、北へ北へと笠科(片品)へ都落ちを続けさらに奥地へと入り小さな館を築いた。 郎党の中には不満から盗賊となり「大勢の盗賊」と、里人からは恐れおののかれるようになった。
ある時、笠科の山裾の村に疲れ切った旅の女がやってきた。 みすぼらしいながらもどことなく気品のあるこの女こそ、保多賀御前(大納言頼国の妻)であった。 頼国が盗賊の頭と聞いた御前は村にとどまり、文字を教えるなどして村に尽くした。
やがて頼国が迎えに来るも会うのを拒否し、たまりかねた頼国が無理矢理連れ出そうとする際、御前は里芋の葉にすべり胡麻の茎で目をつき、これがもとで亡くなった。 頼国は僧となり村に骨を埋めた。
そして御前の墓石にボタンの花がうきでているのを見て「丹花石明神」として祀り、この地を「花咲」と名付けた。 また頼国の館の地を「尾瀬」とよぶようになった。 その後片品では、サトイモとゴマは作らなくなった。
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