吉田家住宅
小川町は、関東平野の西端に接する比企丘陵に位置し、古くから養蚕と製紙で知られている。 吉田家はこの地の農家である。
主屋は寄棟造、茅葺、間取りは当初、広い土間と板間、および二室の座敷から構成されており、関東地方における古い農家の典型的な形式であった。 現在は田の字形に改造されている。
この建物は、座敷の上に養蚕用の二階が作ってあり、この二階がある側面の屋根の軒先が切りあげられている。 養蚕の影響が家の造りにあらわれた最も早い例として注目される。 また大きな改造がなく、建築当初から現在にいたる間取りの変遷もよくわかる。
吉田家住宅は、享保6年 に建築された、実年代のわかる県内最古の民家です。平成元年 に国の重要文化財建造物に指定されました。 建物の規模は、桁行21.8m・梁間10.5mを測ります。
茅葺、入母屋造りの大きな民家で、間取りは「三間広間型」と呼ばれる奥に二間の畳敷きの座敷、手前に広い板間のある江戸時代の典型的なものです。 板間にはいろりが切られ、土間の中央やや北側に大きな一口のかまどがあります。 南側の大戸脇には風呂場があり、北側には流しが造られています。
土間の東半分はうまやです。 北東部には浅い掘り込みがあり、ここに馬もしくは牛が飼われていました。 南側には腰窓があり、ある時期には紙を漉いていました。 南側から西側にかけて縁側が巡り、北西部には便所があります。 座敷の上には二階が造られています。
1984年の調査で柱に貼り付けてあった棟札が見つかりました。 ここには「享保六丑歳霜月吉祥日」と記され、この民家を建設した時の祈祷札であることがわかりました。
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