《グンマを話そう》
○平兵衛池・六合村京塚
ある昔、平兵衛とチエの親子がおった。 ある夏、二人は西山へワラビとりにでかけたが、「近寄ってはなんねえといわれている沼」に迷い込んでしまった。 チエを捜してした平兵衛き、沼の淵で篭と櫛を見つけ、沼の主にさらわれたと沼の水をせき止めている大岩を外してチエを助けようとした。 すると、「水がなければ、おらも死んじまうに」とチエの声がした。「もう家に帰ることはできない、一年経ったら会いに来てくれや」
平兵衛は一年経つのを指折り数えて、供え物を持って沼へ出かけた。 すると竜になったチエが現れ、篭一杯の鯉をさしだした。 やがて「平兵衛池」とよばれるようになった。 その後、白根山の噴火で池の魚はいなくなったそうな。
○米養生(コメヨウジョウ)・振り米
たまよび(魂呼び)の一つ。 地形的に畑作が多く、米よりも雑穀(麦・粟・稗)が中心の食生活様式であり、とくに北部では米が貴重なため食べられるのは[年取り・正月・誕生]ぐらいでありめったに食べられなかった。
病人が死にそうな時・病気が重い時に、竹筒に米を入れて振って聞かせると、「米食いたさに病人が生き返る」または「安心して死ぬ」とも言われた。(これはコメヨウジョウ・米養生ともいい、ニホン各地にみられた)
※魂呼びは他に、「屋根の上から大声で呼ぶ」・「井戸の中を覗いて大声で呼ぶ」などあった。 これは、死ぬと魂が抜けて屋根の棟にあがると考えられていたので、屋根の上にあがり大声で名を呼んだのである。
《グンマを話そう》
○五代・前橋市五代村(現五代町)
ある昔、三度の飯より碁が好きだという男がおった。 ひまさえあれば碁盤にむかい、腕前も村一番であった。 ある日おかみさんが「良い天気だから、たまには山へソダ(木枝)集めにいきな」。 こうして男はソダを拾っているうちに山奥へ迷い込み、気が付くと「パチッパチッ」と音が聞こえてきた。 よおく見ると白髭の爺様が一人で碁盤に向かい合っていた。 男はいてもたまらず、爺様と勝負に挑みいつ果てるともない互角の戦いを続け、ついには爺様を破った。
男が村の自分の家に帰るとだれもいなかった。 村人が言うには「この家は五代前に、碁が好きな男が山へ行ったきり戻ってこなかった」。 そしていつしか「五代村」とよぱれるようになった。
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